ファンタジック・バレンタイン
「で、何を手伝えばいいの?」



「あのね。今日はバレンタインデーでしょ?」



「うん。そうだね。」



バレンタインデーという言葉だけで胸がずきんと痛む。



「私もチョコレートをあげたい人がいるんだ。」



女の子がそう明るく言った。



「へえ。同じクラスの男の子?」



「ううん。」



「じゃあ隣のクラスの子とか?」



思わず自分の境遇と重ね合わせてみる。



「ううん。でも大好きでとても大切な人なんだ。」



「・・・そっか。だったらあげたいよね。チョコ。」



「うん!」



私はダメだったけど、この女の子の願いが叶って、私の分まで幸せになって欲しい・・・そう思った。

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