別冊・ダブルブルー
大丈夫?


ゆっくり離れた私に、そんな風に優しく問いかけた、青さん。


自分勝手な感情を、ひたすらにただ、独りよがりで青さんにぶつけてしまった、後悔。


いろんな負の感情のせいで、顔があげられない。


「…ベランダで、風に当たってきます」


下をむいたまま、コトバを落として歩きだした。


そんな私の右手首を、ゆるく掴んだ青さんの左手。


その左手は、はじめて触れたあの日と同じで。


当然のように、やわらかくあたたかで。


「だめ。寒いでしょ。風邪ひいちゃうよ?」


蒼ちゃん。


蒼ちゃん。


青さんが、私を読んでくれる声が響いているけれど、相変わらず、顔があげられない。






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