別冊・ダブルブルー
「…なんでそんな、見つめてくんの?」


「いやいや、青さんが見つめてくるから」


「「……、」」


またも、続く沈黙。鏡の中で合う、視線。


「青さん、そろそろお仕事の時間ですよ?青さんも用意しなきゃ」


伝え聞いた、青さんが家を出なくちゃいけない時間までには、あと40分と、いうところ。


いつも早めに準備を終わらせて、出発の時間まではゆっくりするという、青さんのルーティンのはずなのに。


何故だか、別の用事で出かける準備をしている私から、離れようとしない青さん。


「…あのー、青さん。そろそろ私、お化粧終わらせたいんですけど…」


下地もファンデーションも塗って、眉毛も終わらせたからあとは、マスカラとチークとリップ、だけ。


どうぞどうぞ、終わらせてください。


なんて、青さんが私にてのひらを向けているけれ、ど。






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