別冊・ダブルブルー
がばり、と、強く強く今度は私が青さんに、抱きついた。


手に持っている、アイスコーヒーのグラスなんかもう、気にならない。


氷たっぷりのアイスコーヒーは、青さんのブルーのニットと、私のインディゴのシャツを冷たく濡らして、染みを作る。


でも、もう。


そんなことはどうでもよくなってしまう。


青さんのシャツを力ずくで、その身体から引っ剥がした。


そうして、その胸に、堪えきれずにくちづけた。


その瞬間の、こと。


まるで、刷毛で掃いたように鳥肌立つ、青さんの素肌。


「蒼ちゃん」


私を呼ぶ、青さんの声が頭上から降りてくる。


見上げたその目は、切ないような切羽つまったような。


そんな表情も、すべてが愛おしい。



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