鬼上司は秘密の許嫁?!溺愛されるなんて聞いてません
「「えっ!!?」」

思わず声が漏れた私と道上さんへ冷たく鋭い視線を向けた部長は小さな溜め息をひとつついた。

「当然だろう。趣味や道楽でやってるんじゃないからな」と言った。

それはそうですけど…。

声には出さなくても私がしょんぼりしたのに気がついたのか、部長が「おい」と再び溜め息をついた。

「俺がさっき言ったことをお前はもう忘れたのか?売り上げ伸ばすと言っただろ」

「あ」

確かにさっき言われて私は頑張ると返事したのに、お店潰される発言に衝撃が強すぎて。

「売り上げがアップすれば、上層部も文句を言わないはずだ」

そうだ。売り上げアップさせて本社の人達に認めて貰おう。
初めて出店に関わったお店だもん。

「第一に、俺が来たのに店は潰れましたというのは許さん」

部長は腕を腰に当ててそう言った。
ツンと顎を上げて言い放ったその姿は、まるでどこかの王様の様だ。
なんて自信家なんだろう、この人は。

顔が整っているだけに、その不遜な態度も妙に堂に入っていて違和感が無い。
きっと今までの実績からの自信なのかもしれない。

「店は絶対に存続させる。その為には売り上げを次の決算までに最低今の倍にするぞ」

「「倍?!」」

驚く私達に部長の目が細められた。

「倍だ」
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