鬼上司は秘密の許嫁?!溺愛されるなんて聞いてません
確かに私はこのお店の出店準備には関わったし、色々と担当しているものの、実質店舗に入って店を動かすのは初めて。
部長が来て立て直しをすると聞いてヤル気になったのに、なんだか蚊帳の外な気がする。

道上さんとふたりで真剣に話し合ってる姿をチラチラ見ながら、羨ましく思う。

私もめちゃくちゃ関わりたいのに!
でも、まだひよっこ扱いだから役に立たないって思われてるのかな?
確かに頼りないだろうけど、私だって一緒にこのお店を盛り立てていく仲間なのに!

「はぁ…っ、私も話に入りたいな。何、話してるんだろう」

時折やって来るお客さんに「いらっしゃいませ」と声を掛けながらもコソッと溜め息をついてしまった午前だった。

・・・・・

「おい。飯行くぞ」

「はい?」

そう部長から声を掛けられたのは午後の二時を過ぎた頃だった。
一時過ぎに部長と店長から先に行って貰い、次に入れ替りで私が行くと伝えていたのに、部長は「まだ本社と打ち合わせがある」と残ったので、終わり次第ひとりで行くものだと思っていたら…まさかのお誘い。

「はい?じゃない。飯を食いに行くと言ってるだろう。聞こえてないのか?」

眉間に皺を寄せて目を細めた部長の迫力に反射的にビクッと小さく震えてしまった。
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