鬼上司は秘密の許嫁?!溺愛されるなんて聞いてません
「いえっ、そんなことは!ただ、部長が、」

「俺が何だ」

俺が何だと言われましても…よし、ここは話を変えよう。

「あのぉ…本当にこのお店で良かったですか?」

「あぁ。さっきも良いと言っただろ」

どのお店に行くかとなった時、私は部長の選ぶ所で良かったんだけど、部長が逆に訊いてきてくれたのでこのお店に決めたのだけど。
部長って偉そうな割に、意外と気を使ってくれる人らしい。

なんだそんな事かと溜め息をついた部長が運ばれて来たお水をひと口飲んだ。
ちょっと気まずい私もお水を飲んだけど、コップを置いたら沈黙が流れた。

本当にマジで気まずい!

そもそも何故、この親しくない上司とふたりで面と向かって食事?!
ハッ!そうか。
きっと食事を通して西院部長も部下と関係を築いて、仕事をスムーズにするためだな。
部長はこっちへ来たばかりで、何も分からないし、きっと少し不安もあるだろうし。
ここは私から何か話題を―、

「部ちょ、」

「ところで、ここの店舗。お前達のセンスどうなってるんだ」

「ーッ!!?」

いきなりの発言に衝撃的すぎて、私は思わず耳を疑った。
だけど部長のやれやれといった様子から聞き間違いではなさそうだ。
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