ひと駅分の彼氏
秋の思い出
学校に到着してからも私はボーッとしていた。


友人に話しかけられても上の空で、先生に問題を当てられても答えることができなかった。


そんな状態で昼休みに入ると、友人の畑瀬優花里(ハタセ ユカリ)が声をかけてきた。


「紗耶、今日はなにか様子が変だよ? なにかあったの?」


優花里は長い髪の毛を1つにまとめて赤いバレッタで止めている。


ハッと人目を引くほど堀の深い美人だ。


「え、あぁ、大丈夫だよ」


慌てて返事をして机の中から数学の教科書とノートを取り出す。


それをみた優花里が眉をハの字に下げた。


「今は昼休憩だよ? それに数学の授業はさっき終わったから」


「あ、あぁ。そうだったよね? お弁当食べよう!」


優花里と私は中学時代からの友人で、大学も同じ所を目指している。


私は幼稚園の先生。


優花里は小学校の教師になることが夢だ。


似たような夢を描いている私達だけれど、性格は正反対だ。


優花里は社交的なタイプで、友人もすぐにできる。


表情豊かで泣いたり笑ったり怒ったりと忙しい。
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