ひと駅分の彼氏
去年の秋
文化祭が終わったばかりの教室はどこか淋しげで、みんなが昨日の楽しさの名残を探しているように見えた。


「真琴、明日私のおばあちゃんの家に一緒に行かない？」


昼休憩の間に私は真琴にそう声をかけた。


１人窓際に立ってグラウンドを見つめていた真琴がこちらへ視線を向ける。


フラウンドでは男子たちがサッカーをしていて、その中には真琴の友人もいた。


ここから友達の様子を見ていたみたいだ。


「紗耶のおばあちゃんの家？」


真琴は首をかしげている。


「うん。たまには顔を出して来たらって、昨日お母さんに言われたの」


紗耶の祖母が暮らしているのは電車で３駅ほど離れた場所だ。


中学生の頃までは紗耶１人でも頻繁に会いに行っていたのだけれど、高校に入ってからはなにかと忙しくて年に数回しか会えていなかった。


紗耶自身もそれは気にしていたことなので、明日の休みを使って久しぶりに会うことにしたのだ。


だけど１人で電車旅をするのは少しさみしい。


そう考えた紗耶は真琴を誘うことにしたのだ。


「あぁ、いいよ」
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