ひと駅分の彼氏
「文化祭だって白熱したわよ!」


このクラスは文化祭でも体育祭でも好成績を残していて、どちらも優越つけがたいものだった。


私は教卓の前に立ってみんなの意見を聞きながらも、自分でもどちらの写真がいいか決めかねていた。


いや、こんなの決められない。


「紗耶はどう思うの?」


不意に私に話がふられて戸惑った。


視線を泳がせから、マグネットで黒板に貼り付けた2枚の写真へ視線を向ける。


「そうだよ。委員会に入っている紗耶が決めてよ」


「私が!?」


思わず言い返してしまいそうになる。


そんな無責任なことはできないと。


「だって、このままじゃずっと決まらないぜ? 俺たち紗耶の意見を尊重するよ!」


男子生徒の発言によって、なんとなくその場が納得した雰囲気になってしまった。


私は慌てて文化祭の写真と体育祭の写真を見比べる。


どちらもみんないい笑顔で、やりきった雰囲気が出ている。
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