ひと駅分の彼氏
「海になら入れるよ! ほら、これも一応水着なんだから!」


そう言う私が着ていたのは足首まである競泳用の水着を、一般人でも着られるようにオシャレにしたものだった。


最近ではこういう肌を隠す水着が多くなっていて、この海水浴場でも着ている人は沢山いる。


別に不自然ではないと自分では思っていた。


「ビキニは!?」


「な、なに言ってんの!?」


私はブルーの海パン姿の真琴に背を向ける。


ビキニなんてスタイルの良い子が着るもので、私みたいに寸胴体型が着るものではないと、真琴は理解していないみたいだ。


恥ずかしくてそっぽを向いていると、視界の中にキラリと光るものが入ってきた。


なんだろうと思って近づいて行くと、それはピンク色の貝殻だった。


「わぁ! 可愛い!」


「それ桜貝だな」


いつの間にか真後ろに来ていた真琴が言う。


「へぇ、桜貝って言うんだ?」


「あぁ。そこの土産物店に売ってるらしい」
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