ひと駅分の彼氏
桜ちゃんは本当に可愛かったし、なにより2人の思い出になる。


「こっちもすごいぞ」


店内を見て回っていると真琴に手招きをされて近づいていった。


テーブルの一角に大きな箱庭が置かれていて、それはここのビーチをミニチュアにしたものだった。


しかし、砂浜のところには砕いた桜貝が敷き詰められている。


小さくて可愛い貝殻はまるで桜の花びらのようで息を飲んだ。


海岸に咲く桜。


足元を彩る桜。


良い表現方法が見つからなくてもどかしい。


とにかくそれは可愛らしく美しいものだった。


「ここ、桜貝だけじゃなくて、サンゴもあるみたいだな」


「そうなんだ……」


私はまだボーッとした気分で返事をした。


ジオラマでこれだけキレイなのだから、実際の浜辺がこんな風になったらどれだけ素敵だろう。


そう思うと思考回路が止まってしまう。
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