君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
「王妃様が弱る時を待ってましたと言わんばかりね。相変わらず怖い人。」
「それで、王妃様はどんなご様子だったの?」
「どんどん笑顔が引きつられて、最後はお人形のように無表情だったわ。お可哀そうに。私、お慰めしてさし上げようかと思ったけど、ルイーザ様からどんな報復があるかと思うと怖くて。会話に入らないことが精一杯だった。」
「私がハイジと同じ立場だったら、私もそうしたわ。ハイジは間違ってない。」
「ありがとう、リア。そうそう、ラーラ。あなたのことも引き合いに出されてた。」
「私のこと?」
「嫁入り前の身体に傷がついたら、お嫁に行けなくなっちゃう。王妃様、責任取りなさいよとかって偉そうに。」
「そんなことで王妃様に責任を負っていただく必要なんてないわ。主君を守ってできた傷は、軍人にとっては名誉なんだから。」
「ラーラならそう言うと思った。それにラーラにはもう既にギュンター様がいらっしゃるしね。騎士団で首を長ーくしてあなたのこと待ってるわ。」
「リアったら、からかわないで。全然そんなんじゃないんだから。」

「取り巻きたちがお茶会での話をどんどん広めちゃってて。王妃様、お気の毒だけど城内で浮いちゃってるのよ。私はルイーザ様の話絶対に信じてないけど、大多数の人にとっては噂の信憑性なんてどうだっていいでしょ。格好のネタだって面白おかしく話してるの。」
「嫁いできたばかりで、王妃様にはマグノリア国内にまだ親しい友人もいないのよ。どれだけ心細いことか。」
「だから明日からは護衛としてだけではなくて、友人として支えてあげてよ。うちと違ってラーデマッハー家は名門伯爵家なうえに、シュヴァルツ公の顔を気にしなくていいんだから。」
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