君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
「最近は月に何度か若いお医者様が子どもたちを診察して、栄養指導もしてくださるので、子どもたちの健康面が大幅に改善されております。」
(きっとアランだわ!)

「なので次の課題となりますと、子どもたちの自立支援でしょうか。孤児院では15歳の子どもまでしかお世話できません。16歳の誕生日にはこの孤児院を出て一人立ちしてもらいます。」
「この孤児院を出た後、子どもたちはどのように生きていくのでしょう。」
「男の子の場合は孤児院の伝手で奉公先を紹介したり、農家の見習いになったりと働き口を見つけて出ていきます。問題なのは女の子です。」
「というと?」
「女の子の働き口というと大方が貴族の屋敷のメイドなのですが、生憎良い貴族の方ばかりではなくて。」
「女の子たちがひどい目に合っているのですか?」
「孤児院に来る子供たちは幼少期に親の愛情を十分に受けられなかったから、人間関係で苦労することも多いんです。主人の家族やメイド仲間にいじめられたりして心を病んでしまう子もいるし。ひどい話だと、性的虐待なんかもあったわね。」
「そんなひどい。」
「私たちも貴族の皆様の寄付で運営している以上、強く言えないし。何とかしたいと思っているんですけどね。」
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