君の愛に酔う ～藤の下で出会った2人の物語～

ジゼルの帰りが遅いので様子を見に来たクララにアランが声をかける。
「王妃様、どうしてこんなに泣いておられるのですか？」
「王妃様の乳母である私の祖母が亡くなりましたので。」
「まぁそうでございましたか。それはお悔やみ申し上げます。」
「私はこれから故郷に帰らなければなりませんので、これで失礼いたします。丸投げするようで申し訳ございませんが、王妃様を慰めてやってください。」

さめざめと泣くジゼルをなんとか馬車に乗せて、クララたちは王城へと戻った。
その後数日は気落ちしていたジゼルだが、
孤児印の院長がとことん話を聞いて慰めてくれたおかけで、何とか心の整理をつけることができた。
”死は終わりではありません。神を信じる者は必ず天国で再会できます。”

政からは遠く離れているジゼルにとって、
この日の出来事が議会で大騒動になっているとはこの時は知る由もなかった。