君の愛に酔う ~藤の下で出会った2人の物語~
ユリウスが1週間の地方遠征から戻ると、
王城内は大変なことになっていた。
居室での謹慎を命じていたジゼルが離婚届にサインをして失踪したのだ。
ジゼルが失踪した時、ちょうどハンナたちは城内の仕事を手伝ってほしいと呼び出されていたそうだ。
一番最初に戻ってきたソフィアが目にしたのは、
もぬけの殻になったベッドと、机の上に残された離婚届だったという。
「思いつめた顔はされていましたけど、王妃様は脱走されるような方ではございません。」
「ハンナの言う通りです。私たちが出ていく際も『行ってらっしゃい、待ってるわね』って言ってくださったのに。」
「最近の王妃様はご飯もろくに召し上がらずやせ細ってしまって。今頃どこでどうされているのか。」
ハンナたちは皆憔悴しきっており、とりあえず国王付きの侍女として引き取った。
ロートシルトの話では、クララもショックを受けているらしい。
ユリウスとしてはジゼルと離婚するつもりはなかった。
正確に言えば、ユリウス自身はまだサインしていないので離婚は成立していない。
ジゼルが慈善事業を熱意を持って取り組んでいるのはユリウスが一番知っていた。
そこで男と会っているというのは初耳だったが、
ユリウスが個人的に院長に確認したところ、
「あくまで仲の良い友人として接しておられたので、陛下が心配するようなことは何もない」
との確証が取れている。
王城内は大変なことになっていた。
居室での謹慎を命じていたジゼルが離婚届にサインをして失踪したのだ。
ジゼルが失踪した時、ちょうどハンナたちは城内の仕事を手伝ってほしいと呼び出されていたそうだ。
一番最初に戻ってきたソフィアが目にしたのは、
もぬけの殻になったベッドと、机の上に残された離婚届だったという。
「思いつめた顔はされていましたけど、王妃様は脱走されるような方ではございません。」
「ハンナの言う通りです。私たちが出ていく際も『行ってらっしゃい、待ってるわね』って言ってくださったのに。」
「最近の王妃様はご飯もろくに召し上がらずやせ細ってしまって。今頃どこでどうされているのか。」
ハンナたちは皆憔悴しきっており、とりあえず国王付きの侍女として引き取った。
ロートシルトの話では、クララもショックを受けているらしい。
ユリウスとしてはジゼルと離婚するつもりはなかった。
正確に言えば、ユリウス自身はまだサインしていないので離婚は成立していない。
ジゼルが慈善事業を熱意を持って取り組んでいるのはユリウスが一番知っていた。
そこで男と会っているというのは初耳だったが、
ユリウスが個人的に院長に確認したところ、
「あくまで仲の良い友人として接しておられたので、陛下が心配するようなことは何もない」
との確証が取れている。