君の愛に酔う ~藤の下で出会った2人の物語~
どこからともなく美容院にあるような椅子が運び込まれ、
ジゼルはその椅子に縛り付けられた。
王妃はジゼルの赤毛を染め直そうとしていた。
王妃の思惑に気づいて必死に抵抗するジゼルだったが、
女官に力づくで押さえつけられてしまう。
「私は親切でしてあげてるのよぉ。」
ニタニタと笑いながら王妃が話しかける。
「赤毛は魔女の毛色。あちらの国はここ以上に赤毛は気味悪がられるそうよ。ほんと、あの女のいらないところが似て、いちいち癪に障る。」
その後も王妃はぶつぶつと嫌味を言っていたが、
もはやジゼルの耳には何も入ってこなかった。
母から受け継いだ赤毛はジゼルのアイデンティティーの一部であり、
それを失うことは自分が自分ではなくなる気がした。
抵抗を辞めたジゼルに構うことなく、女官はせっせとジゼルの髪を染め上げていく。
こうしてジゼルの燃えるような赤毛は、
ユーフォルビア国民にメジャーなブルネットへと変貌してしまった。
「あらあら、これでようやく見れる見た目になったわね。」
真っ黒に染まったジゼルの髪を引っ張りながら王妃が満足そうに微笑む。
「いいこと、地毛が生えてきたら染め直しなさい。あんな野蛮な国、赤毛だとばれたら魔女扱いで火炙りにされてしまうかもしれなくてよ。」
ジゼルはその椅子に縛り付けられた。
王妃はジゼルの赤毛を染め直そうとしていた。
王妃の思惑に気づいて必死に抵抗するジゼルだったが、
女官に力づくで押さえつけられてしまう。
「私は親切でしてあげてるのよぉ。」
ニタニタと笑いながら王妃が話しかける。
「赤毛は魔女の毛色。あちらの国はここ以上に赤毛は気味悪がられるそうよ。ほんと、あの女のいらないところが似て、いちいち癪に障る。」
その後も王妃はぶつぶつと嫌味を言っていたが、
もはやジゼルの耳には何も入ってこなかった。
母から受け継いだ赤毛はジゼルのアイデンティティーの一部であり、
それを失うことは自分が自分ではなくなる気がした。
抵抗を辞めたジゼルに構うことなく、女官はせっせとジゼルの髪を染め上げていく。
こうしてジゼルの燃えるような赤毛は、
ユーフォルビア国民にメジャーなブルネットへと変貌してしまった。
「あらあら、これでようやく見れる見た目になったわね。」
真っ黒に染まったジゼルの髪を引っ張りながら王妃が満足そうに微笑む。
「いいこと、地毛が生えてきたら染め直しなさい。あんな野蛮な国、赤毛だとばれたら魔女扱いで火炙りにされてしまうかもしれなくてよ。」