君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
翌朝。
「王妃様、本当にいらっしゃるかしら。自分で約束したわけじゃないから不安になってきた。」
「ジジは約束を破るような人じゃない。来ると言ったら絶対に来る。ほら、噂をすればね。」

花柄のワンピース姿のジゼルを見つけたアランは大きく手を振る。
アランの姿を見つけたジゼルは小走りで噴水前にやって来た。
「おはよう、ジジ。」
「おはよう、アラン。昨日はごめんなさいね。隣にいるのは・・・クララなの?」
「王妃様ぁ。はい、クララでございます。あんな風に突然いなくなってしまわれたので、どこに行ってしまわれたのかと。」
「本当にごめんなさい。あの時は何も考えられなくて。ルイーザ様言われるがままにお城を飛び出してしまったの。」
「・・・やはりルイーザ様が手を回されていたのですね。でもこの件また別の機会にお話しましょう。本題は別ですから。」

「昨日渡したいものがあるって言っただろ?これなんだけど。」
アランはジゼルに2通の手紙を差し出した。封蝋はサラマンダーだ。
「これは国王陛下からのお手紙?」
「白い封筒は君の叔父上のウィリアム様に渡してくれないだろうか。そして青い封筒はジジに宛てたものだそうだ。」
「今、読んだ方がいいのかしら。」
「うん。君さえよければ。」
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