君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
「返事を待つ必要はない。私が今、返事をする。」
突然現れたウィリアム国王その人にアランとクララは腰を抜かしそうになった。
(なんでこんなところに本物がいるんだ~。)

「ふと窓の外を見たらジジが見知らぬ男女と話し込んでるのが見えてね。なんか怪しいな~と思って来たら案の定だね。君たち名前は?」
「アラン・ポール・クレマンです。」
「クララ・フォン・ラーデマッハーです。」
「アランは私の乳母の孫で幼馴染なの。クララはマグノリア王国で私の護衛騎士をしてくれていたのよ。」
「なるほど。クララ嬢。お名前から察するに、あなたのお父上はラーデマッハー中将で間違いないか?」
「はい。」
「おーこれはやっぱり私の直感が正しかったんだね。立ち話もなんだから、場所を移そう。心配しなくてもジジの知り合いに手荒な真似はしないよ。」

ウィリアムは2人を城へ連れ帰ると応接間に案内する。
ちょうど朝食の時間だったからということでモーニングまで用意してくれた。
(なんかすごいことになったな。)
急すぎる展開にアランもクララも茫然としている。
(一国の王と朝食を共にするなんて良いのかしら。でもこのスクランブルエッグは絶品だわ。)
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