君の愛に酔う ～藤の下で出会った2人の物語～

リンデンバーグの別荘は
国王一家の避暑地として使われていることから、
周辺に民家もないひっそりした場所に佇んでいた。

「もうそろそろかな～」
「良いですか、レディ・ラーデマッハー。私が良いというまでその席から動かないように。」
「はい。」
ウィリアムは側近のローリー卿と、このリンデンバーグが属する州を治めるヘアフォード公爵、そしてクララを連れて
ユリウスを待っていた。
「噂をすればやって来たようですぞ。では私は領主として客人のお出迎えをしてきます。」
「うん、頼むよ。ヘアフォード公爵。」

ヘアフォード公爵はしばらくすると、マグノリア王国の一団を引き連れて戻ってきた。
先頭からユリウス国王、ラーデマッハー中将、ロートシルト大佐の3名だ。
「ようこそ、ユリウス国王陛下。立派な青年になられた。」
「ウィリアム国王、お久しぶりです。」
「さぁ、席について話し合おうじゃないか。なんせ今は戦争中だからね。」
爽やかな笑みを浮かべながら嫌味を言われて、ロートシルトは苦笑いを浮かべる。
（腹黒そうだな、この国王。でもクララは元気そうで良かった。顔色も悪くないし、怯えてる様子もない。）