君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
クララから受け取った封筒には猫のイラストが描かれていた。
自分の知っている者の中で猫をモチーフにしている者はいない。
「それ、ギーゼラ様からです。」
「ギーゼラから?ギーゼラのモチーフは猫なのか?」
「はい、そうです。せっかくなので猫のイラストも添えてみてはと私がおすすめしました。」
「そうか、そうなのか。手紙を届けてくれてありがとう。礼を言うよ。」

ジゼルからの手紙を愛おしそうに見つめるユリウスに
ついつい嬉しくなったクララはジゼルのことをもっと教えてあげたいと思ってしまった。
「ギーゼラ様はウィリアム国王とアリス王妃に本当に大切にされて、幸せにお過ごしです。王家の皆様は親しみやすい方ばかりで、私すっかりファンになってしまいました。ギーゼラ様も友達のように優しく接してくださり、愛称で呼んでほしいとまで言ってくださったんですよ。だから最後の方はジジ様と呼ばせていただいてました。」
「そうか。ギーゼラはいつもどのように過ごしているんだ?」
「そうですね。基本的にはお城でお過ごしですが、毎朝王城前の公園をおひとりで散歩されていて、散歩中の国民の方と会話を楽しむこともあります。日中は病院を慰問されたり、婦人会が行っている包帯づくりなんかに参加されることも多いです。」
「彼女が幸せなら何よりだ。」
「えぇ、そうですね。でも陛下、やっぱり私は陛下と王妃様がお二人で幸せになられることが一番だと思います・・・いえ、出過ぎたことを申しました。これで失礼させていただきます。」
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