君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
(二人で幸せになる、か・・・)
ユリウスはクララの言葉を思い出していた。
それはユリウス自身が一番期待していることだった。
ジゼルも同じ気持ちでいてくれるだろうかと淡い期待を抱きながら、
ベッドに腰かけて手紙を開く。

ジゼルも藤棚での出会いを覚えていてくれたようだ。
”自分の一番美しい思い出の中にいた方が、まさか自分の夫になる方だとは思いもしませんでした。”
”平和な世の中になって、またもう一度陛下とお会いできると信じています。”
決して長くはない手紙だったが、ジゼルが綴ってくれた一文一文がユリウスの心を温かくする。
(私ももう一度君に逢いたい。)
再会の希望を胸に、ユリウスは眠りについた。
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