君の愛に酔う　　　　　　～藤の下で出会った2人の物語～
「大佐～大佐～。そこにいらっしゃいましたか。ゲッティンゲン軍の陣営が把握できました。」
斥候を命じていた小隊の部隊長が戻ってきた。
彼の説明を元に、ロートシルトは作戦を立てると
ウィステリア軍とマグノリア軍で編成された騎馬隊を招集する。

「これより、我々騎馬隊はゲッティンゲン軍の本陣に突入する。我々が活路を開くので、エドワーズ将軍はそれまで待ってください。」
エドワーズ将軍はウィステリア軍のトップである。彼がゲッティンゲン中将の首を取ることになっている。
「承知した。くれぐれもしくじらぬよう。」
エドワーズの脅しをさらりとかわして、ロートシルトは自身の愛馬に跨る。
「騎馬隊、突撃だ！！」
ロートシルトの一言で騎馬隊が突入すると、戦況は一気に傾いた。
ゲッティンゲン軍の陣形が最も手薄になっているところに
騎馬隊の機動力で一気に押しこみ、敵をなぎ倒していく。
もともとゲッティンゲン軍は鉄砲や大砲など武器に頼った戦いを得意とするため、
騎馬隊や歩兵の力はそんなに強くない。
乱戦となった現場では味方にあたるかもしれないため、それらの武器は使えなかった。

騎馬隊の怒涛の攻撃でロートシルトたちはついに乱戦を突破すると、
エドワーズ将軍に合図を送り、そのままの勢いで本陣を襲った。
< 172 / 247 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop