君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
ユリウスはマグノリアに帰国すると、早速国内の改革に着手した。
ウィリアムに拘束されていたシュヴァルツ公をマグノリアに連れ帰り、地下牢に監禁する。
ユリウスはシュヴァルツ公の余罪を全て洗い出して裁判にかけた。
全ての罪を白日の下にさらけ出し、シュヴァルツ公に死刑の判決を言い渡す。

シュヴァルツ公の一族は爵位を没収され、老人から子供に至るまで全員が平民に格下げされた。
もちろんルイーザも側室の身分をはく奪されたうえで、国内で最も戒律の厳しい修道院に強制送還。
これからは死ぬまで神に奉仕し、贅沢は許されない生活を送らなければならない。
またシュヴァルツ公が蓄えていた財産は没収され、
その財産は全て人身売買で売られてきたウィステリアやハイドランジアの人々を救済するための基金とした。
シュヴァルツ公の領地は全て王室の直轄領となり、
今後は鉱山はすべて王家の管理のもとに運営されていく。
それに合わせて違法労働を防ぐために、労働時間の制限や児童労働を禁止する法律が制定された。

シュヴァルツ公に与して資産を肥やしていた貴族たちは
その程度に応じて爵位のはく奪・降格、領地の没収などの処分が下された。
ユーフォルビアとの麻薬売買に手を染めていた者たちも同様に重い刑を課した。
これによって、マグノリアの貴族階級の1/3がその身分を失うことになったと言われている。
それを補うために、ユリウスは平民であっても優秀なものは要職に取り上げる姿勢を示したので、
国民からは歓迎され、国王人気は日に日に高まっていった。
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