君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~

ウィステリアからの招待状

ウィステリアで起こった戦争から3年の月日が流れた。
ユリウスが推し進めた改革が実を結び、
マグノリアは大きな発展を遂げている。

ウィステリアとは友好条約を結んで自由な国交が開かれ、
ウィステリアを通じて鉱山資源を世界各国に輸出することで
軍事国家ではなく、エネルギー大国としての地位を確立した。
また、貴族と平民の間に横たわっていた垣根も少なくし、
身分を気にせず実力あるものが活躍できる風土づくりにも尽力している。
それだけでなく、時間がある時は王都に足を運んで国民の話に耳を傾けることもかかさない。

これは間違いなく、ウィリアムの影響である。
ウィステリアを訪問するたび、国王一家の人気の高さにいつも驚かされた。
どうして彼らはこんなに国民に支持されているのか?
ユリウスの出した答えは、”国民との対話”だった。
ウィリアムもアリスも護衛をつけずに街に出かけては、国民たちと友達のように会話する。
その時に聞いた国民たちの困りごとを真摯に受け止めて、政治に生かすようにしているのだ。
そして彼らは王太子を平民の子どもたちも通う学校で勉強させている。
国民とともに歩む姿勢を見せているからこそ、国民も彼らを支持してくれているのだろう。
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