君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
さらにウィリアムを慌てさせたのは
ユリウス本人には世界中から縁談の申し込みが殺到しているという事実だ。
ジゼルにもないわけではないが、
ウィリアム自身が「娘を政略結婚させるつもりはない」と断言して、
全て門前払いしていたから今では滅多に来ない。

そういった招待状には目もくれないらしいという話に安堵したものの、
いつユリウスの心を捉える令嬢が現れるかも分からない。
ついに女帝ウィルヘルミーナまでユリウスに縁談を持ちかけたというではないか。
(まずい、これはまずいぞ。なんとか手を打たないと・・・)
ユリウスとジゼルの婚姻を無効にした張本人なのに、
ユリウスの縁談の話を聞く度にやきもきしている夫の姿にアリスは半ば呆れつつ、
ユリウスとジゼルの出会いの場をあなたが提供してはどうかとウィリアムに持ちかける。
そういう経緯で、ウィリアムはユリウスをマスカレードに招待したのだった。
< 198 / 247 >

この作品をシェア

pagetop