君の愛に酔う ～藤の下で出会った2人の物語～

ユーフォルビア王国は一夫一妻制の国だが、
「公式愛妾」という制度が存在する。

古くから交易の中継地点として様々な国の文化が交じり合い、
ありとあらゆる流行の中心地として栄えたこの国は、恋愛面でも非常に発展的である。
王族や貴族は自分の夫や妻以外に恋人がいるのは当たり前で、
それを咎めるものはいない。
公然の秘密である。

とは言っても、国王という身分では裏でこそこそというわけにもいかず、
女性の実家からしてみれば国王の後ろ盾をゲットできるというメリットもあり、
いつからか「公式愛妾」という制度が誕生した。

公式愛妾になると、ほぼ王妃と同等の地位を得ることができる。
子が生まれたとき場合も、王の実子としての王子・王女の地位が認められる。
（ただし王位継承権はない。王妃に子がなかった時のみ、認められる。）
ただこの公式愛妾という地位は王の意向で決まるものなので、王が心変わりすれば簡単にその地位を失ってしまう。