君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
確かに、最近は大学内でも女子グループはたいていマスカレードの話題で持ちきりだ。
一般市民にとって御曹司と知り合えるかもしれない国王主催のマスカレードは
是が非でも参加したいイベントで、
なんとか招待状をもらえないかとジゼルに頼み込む者もいた。

(来年は研究室所属になってますます忙しくなるし・・・思い出作りに参加してみるのも悪くないかな。)
舞踏会というと、ジゼルが思い出すのはユリウスとの結婚披露の舞踏会だ。
豪華なドレスに身を包んで、初恋の人と踊ったファーストダンス。
思い出すだけで、ジゼルの胸にはあの時のドキドキが蘇ってくる。
「せっかくの機会だから、私もマスカレードに参加するわ。」
ジゼルの返答を聞いて、ウィリアムは思わずテーブルの下でガッツポーズをした。
(ユリウス、俺ができるのはここまでだ。あとはお前次第だぞ!)

ジゼルがマスカレードに出席することが決まり、
ウィリアムとアリスが大はりきりなのがジゼルは不思議だった。
(私が出席すると、何か良いことでもあるのかしら?)
アリスは早速、王室御用達の服飾デザイナーを呼び寄せてジゼルのドレスを注文する。
それと同時に仮面の制作を請け負う職人も手配していた。
どんな形の仮面がいいか、ジゼルの希望を聞きたいというので打合せを行う。
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