君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
国王陛下の側近を務めていて、
容姿も程々に整っている。
しかも公爵で、婚約者のいない独身となると、
今まで自分に見向きもしなかった令嬢たちの見る目が一瞬で変わった。

明らかに色目を使ってくる令嬢たちを見ていると、
彼女たちはエルマー自身ではなく、
エルマーの肩書と資産を目当てにしているのだと
嫌でも分かってしまう。
その点、ソフィアは自分をそんな目で見ることはない。
今までと変わらない態度で接してくれることがエルマーの癒しになっていた。
(でも、ソフィアは俺のこと親戚のお兄ちゃんくらいに思ってるしな。少なくとも男として意識してない。)

ついに長年の思いを遂げて初恋のお姫様と結ばれた主を見て、
自分もそろそろ身を固める時なのかもなとエルマーは思った。
(とりあえずマグノリアに帰ったら、ソフィアにギーゼラ様のこと教えてあげよう。きっと喜ぶぞ。)
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