君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
ユリウスとエルマーに案内された貴賓室は、
壁が塗り直されてた他、インテリアも刷新されてずいぶん豪華な設えになっていた。
しかしそんなことよりもジゼルを最も喜ばせたのは・・・

かつてジゼルの専属侍女を務めてくれていた
ハンナ・ソフィア・エミリアの3人と再会できたことだった。
「ギーゼラ様!この日を心待ちにしていました。こうしてまたお仕えすることが出来て、言葉にならないぐらい嬉しいです。」
3人ともジゼルが再び王妃となることが発表されると、
ユリウスに専属侍女になることを直談判してくれたそうだ。
3人のあまりの剣幕に、承諾するほかなかったとユリウスが電話で以前言っていたのを思い出す。

「王妃様のこの美しい御髪を結えるのは、世界でただ一人私だけなんですからね!」
ジゼルの髪をとかしながらエミリアが言う。
エミリアは猛アタックが実ってアランと順調に交際を続けているらしい。
ソフィアは仕事一筋で頑張っているが、最近は実家の父から頻繁にお見合いの催促をされてうんざりしているとのこと。
ハンナはこの3人の中では唯一の既婚者だが、
ジゼルがウィステリアにいた間に双子の女の子を出産して4歳の可愛い盛りだという。
ジゼルたっての希望で、この双子ちゃんに結婚式でジゼルのレースを持ってもらう予定だ。
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