君の愛に酔う　　　　　　～藤の下で出会った2人の物語～
（そうか。陛下はルイーザ様とはすでにそういう関係なのね。）
ハンナたちから聞かされていた情報とは真逆だったので、
ジゼルは落ち込んでしまった。
（ルイーザ様は側室なのだから陛下と関係があったって不倫でないのだし、私が責めるのもお門違い。あまり期待してはダメよ、ジゼル。期待するからショックが大きくなるの。）

その後適当に時間を潰して会場に戻ると、
ユリウスが走って近づいてきた。
「王妃、こんなところにいたのか。探したんだぞ。」
「申し訳ございませんでした。たくさんの人に酔ってしまって、庭を散歩して夜風にあたっておりました。」
「まぁ、いい。それよりもう退出するぞ。我々がいつまでも残っていたら、客人方が帰れなくなってしまう。」
そう言うと半ば強引にジゼルの腕を取り、
招待客に「あとはごゆっくり」と告げて、足早に退出してしまった。

大広間を抜けてジゼルに割り当てられた居室までジゼルを連れて行く。
「ゆっくり休んでくれと言いたいところだが、初夜は王の寝室で過ごしてもらう必要がある。準備ができたら、私の部屋まで来なさい。」
「畏まりました。」
ジゼルが部屋に入るのを見届けると、ユリウスも自室へと戻っていった。
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