君の愛に酔う ~藤の下で出会った2人の物語~
もちろんルイーザは乗馬などしない。
馬は馬車を引くものと思っているから、馬への愛着も当然ない。
だから今まで馬場や厩舎のあたりで見かけることはなかった。
それがなぜー--。
気になったクララは直接声をかけたこともあった。
ルイーザの返事は「天気が良いので散歩しているだけですわ。」とただそれだけ。
ジゼルのことも遠目に見つめることはあっても、何もしてこない。
とりあえず団長には相談したが、
「何かされたわけじゃないから、こちらとしても何もできない。万が一に備えて目を光らせておくように。」
とのことだった。
(今日もいるな。)
オルキスの手綱を引きながら、視界の隅にルイーザの姿を見つける。
名前は忘れたが2名ほどの取り巻きと一緒だ。
この頃になると、クララ自身も日常の光景になってしまっているので、
注意してはいるもののそこまで警戒しているわけではなかった。
「乗馬って本当に楽しいわね。馬がこんなに素晴らしい生き物だなんて知らなかったわ。」
「王妃様がこんなに熱心になってくださって私も嬉しいです。馬に乗りたいとおっしゃったときはどうしようかと思いましたが・・・」
「本当はもっと走ってみたいんだけど。」
「それだけは許可できませんっ!」
「分かってるわよ。ばれたらクララが怒られてしまうでしょ、それは可哀そうだし。」
いつもと変わらない穏やかな時間。
それが一変したのは一瞬だった。
馬は馬車を引くものと思っているから、馬への愛着も当然ない。
だから今まで馬場や厩舎のあたりで見かけることはなかった。
それがなぜー--。
気になったクララは直接声をかけたこともあった。
ルイーザの返事は「天気が良いので散歩しているだけですわ。」とただそれだけ。
ジゼルのことも遠目に見つめることはあっても、何もしてこない。
とりあえず団長には相談したが、
「何かされたわけじゃないから、こちらとしても何もできない。万が一に備えて目を光らせておくように。」
とのことだった。
(今日もいるな。)
オルキスの手綱を引きながら、視界の隅にルイーザの姿を見つける。
名前は忘れたが2名ほどの取り巻きと一緒だ。
この頃になると、クララ自身も日常の光景になってしまっているので、
注意してはいるもののそこまで警戒しているわけではなかった。
「乗馬って本当に楽しいわね。馬がこんなに素晴らしい生き物だなんて知らなかったわ。」
「王妃様がこんなに熱心になってくださって私も嬉しいです。馬に乗りたいとおっしゃったときはどうしようかと思いましたが・・・」
「本当はもっと走ってみたいんだけど。」
「それだけは許可できませんっ!」
「分かってるわよ。ばれたらクララが怒られてしまうでしょ、それは可哀そうだし。」
いつもと変わらない穏やかな時間。
それが一変したのは一瞬だった。