君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
「お前の縁談が決まった。相手はマグノリア王国のユリウス国王だ。」
国王の言葉にジゼルはひどく混乱してしまった。
「どうして私が・・・」
思わず出てしまった言葉を聞き逃さなかったシャンタル王妃が鋭い眼差しを向ける。
「あらー、庭師のまねごとをしているようなあなたでも一応王女なのだから、国のために嫁ぐのは当然でしょう?しかも王妃になれるのだから感謝してほしいぐらいだわ。文句でもあるのかしら?」
「いえ、そのようなことはございません。」
「そうよね!国王陛下のお決めになったことに対して、あなたには拒否権などないのだもの。」
「お前がマグノリア王国に嫁ぐことで、我が国の軍事力は増強する。ユーフォルビアの王女として役目を与えるのだ。しっかり務めよ。婚姻日など詳細はおって連絡する。以上だ、下がれ。」

そう言うと国王からはさっと笑顔が消える。
一方の王妃は、「これで邪魔者がいなくなった」とばかりの晴れやかな笑みを浮かべている。
消え入りそうな声で返事をしたジゼルはとぼとぼとグリシーヌ宮へと引き返した。
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