君の愛に酔う ～藤の下で出会った2人の物語～

「王妃さまが乗馬しているときに…突然あちらの方から、銃声のような声が聞こえて…それに驚いたポニーが興奮して王妃様を振り落としてしまいました。あんなに気をつけるように言われたのに。申し訳ございません…」
「とりあえず、王妃様もお前も命に別状はなさそうだ。最悪の事態が免れてよかった。」
ロートシルトが労いのつもりで軽くクララの肩に触れると、
クララはあまりの激痛で悲鳴をあげてしまった。

「お前、骨折しているんじゃないか？至急、検査だ。」
ロートシルトはそう言うとクララを軽々と抱き上げる。
通常時だと赤面して下ろしてほしいと懇願するところだが、
クララはあまりの激痛と脂汗で意識が混濁しており、
そのまま意識を手放した。

ジゼルとクララが王城の医務室に運ばれた後、
ユリウスの命令で現場の調査が行われた。
クララが証言したあたりを捜索すると、爆竹の燃え残りが発見された。
銃弾が発見されなかったことから、ポニーは爆竹の音に驚いて暴れだしたのだと結論付けられた。
クララや馬番の証言で、
その日はちょうど爆竹の燃え残りがあった場所の付近にルイーザがいたことが分かっているので
ルイーザと取り巻きたちが取り調べを受けた。