君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
「王妃様、こちらで目を温めてくださいな。」
ソフィアが温かいおしぼりを差し出す。
「王妃様がご無事で何よりでございます。クララだって王妃様をお守りすることができて、騎士の名誉だと思っておりますわ。こんな窮屈な生活で、少し自分の楽しみを見出すことが悪いことだなんて私は思いませんよ。」
「ありがとう、ソフィア。」
「陛下が厳しいことを言うのも、王妃様のことを心配なさっているからですわ。」

グリシーヌ宮で寂しかったけれど自由に生きてきたジゼルは
今回の一件で反省した。
私の命はもう私だけのものではない。
これからはもっと自覚を持っていきなければ。
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