君の愛に酔う      ~藤の下で出会った2人の物語~
そして今、
騎士団の正装に身を包んで謁見の間にロートシルトと二人で立っている。
しばらくすると国王陛下ご夫妻が部屋へと入ってきた。
(あー良かった、王妃様。お元気そうだわ。)
自分の前に立つジゼルの姿を見て、クララは心から安堵する。

「国王陛下、ならびに王妃陛下。本日より、クララ・フォン・ラーデマッハー大尉が任務復帰させていただきます。」
「クララ・フォン・ラーデマッハーです。2カ月の休養をいただき、ご恩情に感謝申し上げます。今後ますます精進を重ねてまいりますので、何卒宜しくお願い致します。」

「ラーデマッハー大尉、面を上げなさい。この度は我が王妃を身を挺して守ってくれてありがとう。」
「陛下にお礼の言葉を賜るなんて身に余る光栄です。私は当然のことをしたまでです。」
「あぁ、クララ。顔をよく見せてちょうだい。本当にもう身体は痛くないのね?私の我が儘のせいで本当にごめんなさい。反省しています。」
「王妃様が気に病むことはございません。今後も王妃様のお側に控えることをお許しいただけて、こんなに嬉しいことはないです。」
「王家から感謝の気持ちとして、そなたに贈りたいものがある。ぜひ受け取ってほしい。王妃、あれを。」
ユリウスがジゼルに声をかけるとハンナがジゼルに重厚な箱を渡す。
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