溺愛ヤクザの蜜愛条件～契約のキスが甘すぎる～

「でもやるしかないよね。よし、頑張れ。絶対に喜んで貰える物を作るぞ」

先ほどの電話相手はどうでもいいといった感じの言動だったが、それを覆すくらいの花束を作ってみせると気合いを入れ直す。
店仕舞いを素早く済ませた美祐は花の並ぶショーケースを前に立つと、頭の中で花束のイメージを膨らませていった。



・・・・

それから三十分後―慣れない場所の緊張から美祐は唇をキュッと結んで足早に夜の街を歩いていた。
両腕には大きめの花束が抱かれており、通りすぎる人達からの視線を集めていた。
その為、思わず道の端をこそこそ歩く。
しかし好奇心は隠せないもので、緊張しつつも街の様子を興味深そうにキョロキョロ見ながら進む。

―夜の新宿って、こんな感じなんだ。