溺愛ヤクザの蜜愛条件～契約のキスが甘すぎる～

店の戸締まりをすると、急いで花束の製作に取り掛かった。
豪華な花束となると薔薇のイメージがある。
他の花も考えたが、店長から以前『お店の人からはプレゼント用には赤い薔薇メインで派手な物が喜ばれる』とアドバイスを貰っていたので、それを参考に構成した。

そんな派手な花束を抱えていれば自然と目が向けられるのは当然といえば当然だった。

「えーっと、ここを右か」

普段来ない場所なだけに店の場所など全く分からない。
スマホの地図を頼りにテクテク歩いていると、段々とネオンも賑やかになってくる。
ギラギラと輝く明かり、その反対に薄暗く近づくのを思わず躊躇ってしまうような店が並ぶ。
いつもなら家に帰っている時間に街中を歩くというのはなかなか新鮮だったが、この時間にここを歩くのは少し怖さもある。