溺愛ヤクザの蜜愛条件~契約のキスが甘すぎる~
店舗用のスマホを切った美祐は、それをポケットへと仕舞いホッと息を吐いた。

「ちょっと怖いお客さんだったな。それに何でもいいって…。でも焦ってたみたいだし、仕方ないか」

客を思いやっているが為に焦ってイライラしていたのだろう―急いでいると口調が荒くなる人も居ると知っている。

―大切なお客さんに送る花束なんだもん。私も心を込めて作らなきゃ。

美祐は気持ちを切り替えて、さっそく花束作りに意識を向けた。

「うーん、それよりもどうしよう。一万円の花束なんて初めてだし」

今までは小さな物ばかりで、最高で五千円前後の花束しか作っておらず、客が選んだ花を纏めるだけで良かったが、今回は違う。
自分で考えて作る大きな花束の依頼だ。
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