新そよ風に乗って 〜焦心〜
噂
日本独特の風習というか、流れなのか。クリスマスが終わると、直ぐにクリスマス・ツリーに取ってかわって、あちらこちらに門松がお目見えする。慌ただしい年末の雰囲気は嫌いではないけれど、一気にお正月ムードいっぱいになって年が明けると、お正月休みもあっという間に終わってしまい、また仕事が始まった。
「陽子。明けまして、おめでとう」
「あっ。まゆみ。明けまして、おめでとうございます」
朝礼で、社長の年頭の辞を聞いた後、越年していた書類の山を片付けていたが、直ぐにランチタイムになって中原さんと一緒に社食に行くと、久しぶりにまゆみに会った。
中原さんを見ると、近くに座っていた同期と一緒に食べるからと言ってくれたので、丁重にお詫びをしてまゆみと2人で食事をすることにした。
「最近、どうなの? ハイブリッジとは」
「ど、どうって?」
まゆみの鋭い突っ込みに、焦ってしまう。
「だからあ……。少しは、進展あったのかってことよ」
きっと隠していたところで、直ぐにまゆみにはバレてしまうだろう。
そう思ったら、ぎこちなく頷いていた。
「えっ? ちょ、ちょっと、どういうこと? 聞いてない。理路整然たる説明をせよ」
理路整然たるって……。
高橋さんが出張から帰ってきた日のことを話すと、まゆみは目を輝かせながら聞き終えるとテーブルを挟んだ私の方に身を乗り出すようにして小声で言った。
「で……。正月休みは?」
「えっ?」
「会わなかったの?」
「う、うん」
「はあ? 何でよ?」
な、何でって……。
「ハイブリッジから、休み中に電話はなかったの?」
「うん……」
「メールも?」
まゆみの質問攻めに、ただ頷くしかない。
「どうなってんのよ? ハイブリッジは」
どうなってるって、言われても……。
本当に、高橋さんが出張から帰ってきた日以降、電話もないし、何も進展なんてない。そのまま年末になってしまって、夢のような時間を一緒に過ごせたけれど、相変わらず高橋さんの心は読めないし、気持ちも掴めていない。もっとも、仕事中にその手の話を高橋さんがするわけもなく……。公私は、しっかり区別している高橋さんだから。
「陽子。明けまして、おめでとう」
「あっ。まゆみ。明けまして、おめでとうございます」
朝礼で、社長の年頭の辞を聞いた後、越年していた書類の山を片付けていたが、直ぐにランチタイムになって中原さんと一緒に社食に行くと、久しぶりにまゆみに会った。
中原さんを見ると、近くに座っていた同期と一緒に食べるからと言ってくれたので、丁重にお詫びをしてまゆみと2人で食事をすることにした。
「最近、どうなの? ハイブリッジとは」
「ど、どうって?」
まゆみの鋭い突っ込みに、焦ってしまう。
「だからあ……。少しは、進展あったのかってことよ」
きっと隠していたところで、直ぐにまゆみにはバレてしまうだろう。
そう思ったら、ぎこちなく頷いていた。
「えっ? ちょ、ちょっと、どういうこと? 聞いてない。理路整然たる説明をせよ」
理路整然たるって……。
高橋さんが出張から帰ってきた日のことを話すと、まゆみは目を輝かせながら聞き終えるとテーブルを挟んだ私の方に身を乗り出すようにして小声で言った。
「で……。正月休みは?」
「えっ?」
「会わなかったの?」
「う、うん」
「はあ? 何でよ?」
な、何でって……。
「ハイブリッジから、休み中に電話はなかったの?」
「うん……」
「メールも?」
まゆみの質問攻めに、ただ頷くしかない。
「どうなってんのよ? ハイブリッジは」
どうなってるって、言われても……。
本当に、高橋さんが出張から帰ってきた日以降、電話もないし、何も進展なんてない。そのまま年末になってしまって、夢のような時間を一緒に過ごせたけれど、相変わらず高橋さんの心は読めないし、気持ちも掴めていない。もっとも、仕事中にその手の話を高橋さんがするわけもなく……。公私は、しっかり区別している高橋さんだから。
< 1 / 247 >