新そよ風に乗って 〜焦心〜
高橋さんや明良さんも、こんなに心配してくれている。
このままじゃ、駄目なんだ。何とかしなくては……。
それから、明良さんの手料理のランチを堪能して、和やかな休日を過ごしながら、夕方から当直のある明良さんと3人で時間の許す限り、他愛のない会話で笑い転げていた。けれど心の片隅で、きっと何時か遠藤主任と対峙する日が来ることも、そんな至福の時とは裏腹にひしひしと感じていた。
また1週間が始まり、週明けの会議で高橋さんも分刻みで忙しいらしく、フル回転でこなしている。そんな私も、ただでさえ月曜日は週のはじめで憂鬱になりやすいのに、今日はちょうど経理の金庫当番の日とも重なっていて、更に憂鬱な月曜日になってしまっている。更に輪を掛けるようにパートナーは黒沢さんで、朝から溜息ばかりついていた。
仕事とはいえ、週明け早々、ついてない。
金庫のお金を数えるのが苦手で、しかも人より倍以上の時間が掛かってしまう。そんな私のパートナーになってしまった人には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
夕方、金庫のお金を数えていると、案の定、黒沢さんに催促されてしまった。
「ねえ、まだなの?」
「すみません。もう少し、待って頂けませんか?」
「はあ……。本当に、仕事になんないのよねえ。こう時間掛かっちゃうと。まったくもう……」
黒沢さんは、散々嫌味を言いながら金庫室から出て行った。
早くしなきゃ……。
でも焦ると、余計に合わなくなっちゃう。落ち着いて、手早く数えないと。
500円玉の棒金を数えていると、開いている金庫の扉をノックする音が聞こえた。
嘘……黒沢さん。もう、また催促に来たの?
恐る恐る顔を上げると、黒沢さんではなく高橋さんが立っていた。
「高橋さん」
「どうだ? 時間が掛かっても、構わない。黒沢さんのことは、気にしなくていいから。まだ就業時間中だ。ゆっくりでも問題ないから、正確にな」
「はい……」
そうは言っても、かなり黒沢さんはお怒りみたいだから、極力急がないといけない。
「これから、ちょっと中原と会議に行って来るが、もしかしたら長引くからしれないから、遅くなったら、鍵を閉めて構わず先に帰っていいからな」
このままじゃ、駄目なんだ。何とかしなくては……。
それから、明良さんの手料理のランチを堪能して、和やかな休日を過ごしながら、夕方から当直のある明良さんと3人で時間の許す限り、他愛のない会話で笑い転げていた。けれど心の片隅で、きっと何時か遠藤主任と対峙する日が来ることも、そんな至福の時とは裏腹にひしひしと感じていた。
また1週間が始まり、週明けの会議で高橋さんも分刻みで忙しいらしく、フル回転でこなしている。そんな私も、ただでさえ月曜日は週のはじめで憂鬱になりやすいのに、今日はちょうど経理の金庫当番の日とも重なっていて、更に憂鬱な月曜日になってしまっている。更に輪を掛けるようにパートナーは黒沢さんで、朝から溜息ばかりついていた。
仕事とはいえ、週明け早々、ついてない。
金庫のお金を数えるのが苦手で、しかも人より倍以上の時間が掛かってしまう。そんな私のパートナーになってしまった人には、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
夕方、金庫のお金を数えていると、案の定、黒沢さんに催促されてしまった。
「ねえ、まだなの?」
「すみません。もう少し、待って頂けませんか?」
「はあ……。本当に、仕事になんないのよねえ。こう時間掛かっちゃうと。まったくもう……」
黒沢さんは、散々嫌味を言いながら金庫室から出て行った。
早くしなきゃ……。
でも焦ると、余計に合わなくなっちゃう。落ち着いて、手早く数えないと。
500円玉の棒金を数えていると、開いている金庫の扉をノックする音が聞こえた。
嘘……黒沢さん。もう、また催促に来たの?
恐る恐る顔を上げると、黒沢さんではなく高橋さんが立っていた。
「高橋さん」
「どうだ? 時間が掛かっても、構わない。黒沢さんのことは、気にしなくていいから。まだ就業時間中だ。ゆっくりでも問題ないから、正確にな」
「はい……」
そうは言っても、かなり黒沢さんはお怒りみたいだから、極力急がないといけない。
「これから、ちょっと中原と会議に行って来るが、もしかしたら長引くからしれないから、遅くなったら、鍵を閉めて構わず先に帰っていいからな」