新そよ風に乗って 〜焦心〜
「あの頃の貴博は、もう人生の終わりです……みたいな雰囲気漂わせてた。それでいて、黙っていると人を寄せ付けない独特の雰囲気を醸し出しているからさ。尚更、質悪かった」
明良さん……。
「でもさあ、そんな貴博の雰囲気を、影があって素敵! なーんて、勘違いしてる女子も多かったから。貴博は、来る者拒まず、去る者追わずってね」
来る者拒まず、去る者追わず……。
「あ、あの、高橋さんは、今でもそうなんですか?」
「陽子ちゃん?」
あっ……。
包丁を持ったまま、明良さんと見合ってしまい、バツが悪くて視線を外してしまった。
「うーん……どうなんだろう? だけど、学生時代よりは確実に時間がないはずだから、そんな暇ないんじゃない? クーッ。目に滲みる」
明良さんは、オニオンをスライスしながら涙目になっている。
「そ、そうなんですか。でも、今でも時間があったら……」
「ハハッ……。陽子ちゃん。そんなに心配することないよ。貴博は、陽子ちゃんと出逢ってから、だいぶ変わったって言ったでしょ? アスパラガス終わった? 終わったら、そっちのプロセスチーズをカットして、何本か並べてアスパラガスと同じ長さになるように何セットか作ってくれる? だいたい、カットしたチーズ4、5本かな? アスパラガスと同じ長さにするには」
「はい」
高橋さんが、変わった? そんなこと、あるのかな? 私には、私が入社した時と殆ど変わらないように見えるんだけど……。
「そしたら、春巻きの皮を半分にカットしてね」
「半分に……ですか?」
「そう。縦でも横でも構わないから、半分にカットして」
「はい」
春巻きの皮を半分にカットして、どうするんだろう?
「出来た? そしたら、春巻きの皮に塩、コショウをしてアスパラガスを巻いて……こうやってね」
そう言って、明良さんが見本を見せてくれた。
「それで、水を付けて端を止める」
明良さん……。
「でもさあ、そんな貴博の雰囲気を、影があって素敵! なーんて、勘違いしてる女子も多かったから。貴博は、来る者拒まず、去る者追わずってね」
来る者拒まず、去る者追わず……。
「あ、あの、高橋さんは、今でもそうなんですか?」
「陽子ちゃん?」
あっ……。
包丁を持ったまま、明良さんと見合ってしまい、バツが悪くて視線を外してしまった。
「うーん……どうなんだろう? だけど、学生時代よりは確実に時間がないはずだから、そんな暇ないんじゃない? クーッ。目に滲みる」
明良さんは、オニオンをスライスしながら涙目になっている。
「そ、そうなんですか。でも、今でも時間があったら……」
「ハハッ……。陽子ちゃん。そんなに心配することないよ。貴博は、陽子ちゃんと出逢ってから、だいぶ変わったって言ったでしょ? アスパラガス終わった? 終わったら、そっちのプロセスチーズをカットして、何本か並べてアスパラガスと同じ長さになるように何セットか作ってくれる? だいたい、カットしたチーズ4、5本かな? アスパラガスと同じ長さにするには」
「はい」
高橋さんが、変わった? そんなこと、あるのかな? 私には、私が入社した時と殆ど変わらないように見えるんだけど……。
「そしたら、春巻きの皮を半分にカットしてね」
「半分に……ですか?」
「そう。縦でも横でも構わないから、半分にカットして」
「はい」
春巻きの皮を半分にカットして、どうするんだろう?
「出来た? そしたら、春巻きの皮に塩、コショウをしてアスパラガスを巻いて……こうやってね」
そう言って、明良さんが見本を見せてくれた。
「それで、水を付けて端を止める」