新そよ風に乗って 〜焦心〜
「うわぁ。楽しそうですね」
「でしょ? 簡単だから、アスパラガスが終わったら、同じようにプロセスチーズもやってみて。コツは、なるべく具にピッタリきつく巻くと、美味しく出来るから」
「はい」
教わったとおりに巻いていくと、割と直ぐに巻き終わってしまった。
「オッ! 早いね、陽子ちゃん。そしたら、それをサッと揚げるから。オニオンスライスも出来た」
「いい匂い。明良さんのそれは、何ですか?」
「これ? これは、オニオンスライスに、じゃこと桜エビをビネガーと熱くしたごま油で和えただけ。それじゃ、サッと春巻き揚げるよ」
「はい」
慣れた手つきで明良さんが、春巻きを揚げて盛りつけをしている間、お皿の準備をしてダイニングテーブルに運んでいると、高橋さんがソファーに座って背もたれに頭をもたれかけて眠ってしまっていた。
高橋さん。疲れているのかな? 毎日、本当に忙しそうだし……。
起こさないように、静かにテーブルにお皿を並べていたが、残り1枚のお皿を反対側に並べようとして移動している途中で何かを踏んでしまい、驚いて咄嗟に飛び上がって避けたが、拍子にバランスを失って後ろに倒れてしまった。
「キャッ……」
あれ?
絶対、尻餅をつくと思って覚悟を決めたのに、何故か痛くない?
「何だよ。いきなり、人の膝の上に乗っかってきて」
エッ……。
倒れそうになった時、咄嗟に割れないようにとお皿を掲げて持った体勢のまま、直ぐ後ろから聞こえる高橋さんの声に振り返ると……あろうことか、高橋さんの膝の上に乗っていた。
「ギャーッ! す、すみません。ごめんなさい。だ、大丈夫ですか? 高橋さん」
かなり勢いよく乗ってしまったはず。高橋さんの膝は、大丈夫だろうか?
「フッ……。そんな柔な膝じゃねーよ。それにしても、お前はいつも俺に飛び込んでくるよな? 狙ってるのか?」
ハッ!
「な、何、言ってるんですか。ね、狙ってなんていませんよ。偶々……」
「いつも? 偶々? なーんか、部屋の中が熱いな。暖房温度、下げようか。あっ。注釈だけど、この場合の熱いは、熱の方の熱いね?」
明良さんが、料理を運んできてくれたが、何やら意味深な言い方で不敵な笑いを浮かべている。
「つべこべ言ってないで、早く食わせろ」
けれど、そんな明良さんの言葉も取り合わずに、高橋さんは私を脇に立たせてくれて自分も立ち上がって席に着いた。
「貴博は、食べることしか頭にないのか?」
「今の思考回路、食にMAX集中中」
集中中って……。
「でしょ? 簡単だから、アスパラガスが終わったら、同じようにプロセスチーズもやってみて。コツは、なるべく具にピッタリきつく巻くと、美味しく出来るから」
「はい」
教わったとおりに巻いていくと、割と直ぐに巻き終わってしまった。
「オッ! 早いね、陽子ちゃん。そしたら、それをサッと揚げるから。オニオンスライスも出来た」
「いい匂い。明良さんのそれは、何ですか?」
「これ? これは、オニオンスライスに、じゃこと桜エビをビネガーと熱くしたごま油で和えただけ。それじゃ、サッと春巻き揚げるよ」
「はい」
慣れた手つきで明良さんが、春巻きを揚げて盛りつけをしている間、お皿の準備をしてダイニングテーブルに運んでいると、高橋さんがソファーに座って背もたれに頭をもたれかけて眠ってしまっていた。
高橋さん。疲れているのかな? 毎日、本当に忙しそうだし……。
起こさないように、静かにテーブルにお皿を並べていたが、残り1枚のお皿を反対側に並べようとして移動している途中で何かを踏んでしまい、驚いて咄嗟に飛び上がって避けたが、拍子にバランスを失って後ろに倒れてしまった。
「キャッ……」
あれ?
絶対、尻餅をつくと思って覚悟を決めたのに、何故か痛くない?
「何だよ。いきなり、人の膝の上に乗っかってきて」
エッ……。
倒れそうになった時、咄嗟に割れないようにとお皿を掲げて持った体勢のまま、直ぐ後ろから聞こえる高橋さんの声に振り返ると……あろうことか、高橋さんの膝の上に乗っていた。
「ギャーッ! す、すみません。ごめんなさい。だ、大丈夫ですか? 高橋さん」
かなり勢いよく乗ってしまったはず。高橋さんの膝は、大丈夫だろうか?
「フッ……。そんな柔な膝じゃねーよ。それにしても、お前はいつも俺に飛び込んでくるよな? 狙ってるのか?」
ハッ!
「な、何、言ってるんですか。ね、狙ってなんていませんよ。偶々……」
「いつも? 偶々? なーんか、部屋の中が熱いな。暖房温度、下げようか。あっ。注釈だけど、この場合の熱いは、熱の方の熱いね?」
明良さんが、料理を運んできてくれたが、何やら意味深な言い方で不敵な笑いを浮かべている。
「つべこべ言ってないで、早く食わせろ」
けれど、そんな明良さんの言葉も取り合わずに、高橋さんは私を脇に立たせてくれて自分も立ち上がって席に着いた。
「貴博は、食べることしか頭にないのか?」
「今の思考回路、食にMAX集中中」
集中中って……。