ホワイトビターショコラ〜幼馴染からの卒業〜


その時、私は決めた。

卒業式の日は、まさかの3月14日。
ホワイトデーの日に、告白する。

だって、このままお別れしたら絶対後悔するから。

叶わない恋だってわかってる。
でも、この初恋からちゃんと卒業したい。

いっぱい泣くことになっても、笑顔で春を迎えたいの――。


私はバレンタインの時と同じホワイトチョコを買った。
やっぱり手作りを渡す勇気はなかった。

それでも、私の想いは変わらない。


「九竜くんっ!」


卒業式が終わり、寮に戻って…一人部屋で荷物を整理する九竜くんに声をかける。

部屋はものすごく片付いて物がなくて、ああ本当にここから出て行くんだって…寂しくなった。


「どうかした?」

「あの、私…っ、私は、九竜くんのことが好きです…!」


震える手で、ホワイトチョコを差し出す。


「ずっと好きでした…っ」


声も手も震えて、顔は真っ赤。
逃げたいくらいに恥ずかしい、人生初の告白だ。



「…ごめん、好きな人がいるから、青葉の気持ちには応えられない」



その返答に、思わず彼の顔を見た。
いつもと変わらず無表情だったけど、ほんの少しだけ申し訳なさそうにしてる…ような気がした。

何より驚いたのは、好きな人がいるとはっきり言ってくれたこと。


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