ホワイトビターショコラ〜幼馴染からの卒業〜
いつからか、くるみは九竜にカメラを向けなくなっていた。
元々撮られるのが嫌いな奴だけど、くるみの押しの強さに負けることもあった。
すっげー嫌そうな顔してたけど。
それが、いつの間にか九竜にカメラを向けることがなくなり、いつの間にか九竜に熱っぽい視線を向けるようになっていた。
俺には絶対に見せない表情。
一目で恋してる、ってわかっちまった。
…先に好きになったのは俺なのに。
ずっとお前のこと見てたのも俺なのに。
なんでなんだよ……。
「……。」
「…和泉、さっきから何?」
こいつのどこがいいんだよ…!
ちょっと顔が良くて運動神経良くて、腕っぷしが強いだけじゃねぇか…。
「九竜と橙矢、何してんの?」
もう一人の男子寮生、赤星が怪訝そうに俺たちを覗く。
ちなみに寮生は男女合わせて6人。去年もう一人女子がいたが、転校してしまった。
「…なんか和泉がめっちゃ見てくる」
「えー?橙矢、九竜のこと好きなの?」
「んなわけあるかっ!!」
「……。」
「お前もちょっと嫌そうな顔してんじゃねーよ!」
マジでなんでこいつが学校一モテてんのかわかんねぇ!!
全然笑わねーし無口だし無愛想のくせに!