ホワイトビターショコラ〜幼馴染からの卒業〜
カメラを覗き込んで邪魔してくるのは、私の幼馴染・和泉橙矢。
チビだけどバスケが得意で、バスケ部キャプテンなんてやってる。
私と同じ寮生でもある。
「ちょっと橙矢邪魔なんだけど〜」
「気が散るんだよ!」
「別に橙矢のことなんか撮ってないっつーの」
「なんだと!」
橙矢は身長の低さを補う圧倒的な素速さとテクニックでスタメンに選ばれ続けており、一部の女子からは人気らしいんだけど。
私にとってはチビでうるさい、ただの幼馴染なんだよね。
「俺の華麗なドリブル見ろよ!絶対バズるぞ!」
「うるさいってば!」
こんな感じの言い合いが日常茶飯事。
幼馴染なんて、そんなもんだよね。
「仕方ないから撮ってあげよっか?ほら、面白いことして」
「無茶振りかよ!」
「もう回してるからね!」
「ハア!?」
うるさいけど、橙矢とこうやって子どもみたいに騒げるのは結構楽しかったりする。
遠慮がないからなんでも言い合えるし、同じ寮生っていうのも案外楽しい。
橙矢の前ではカッコつける必要がないから、すごく楽なんだ。
「つーかくるみ、何撮りに来たんだよ」
「…別になんでもいいでしょ」
「教えろよ」
「橙矢には関係ないもん」