ホワイトビターショコラ〜幼馴染からの卒業〜
バスケ部が練習してる体育館の隣にある武道館は、一際大勢の女子たちが見に来ている。
みんなお目当てはたった一人。
「キャーーーー!カッコイイ〜!!」
「こっち向いて〜!!」
自分よりも大柄な相手でも、一瞬の隙を突いて竹刀を振り下ろす。
その鮮やかたるや、素人でも一目瞭然。
防具を脱いで端麗すぎる容姿が露わになると…もう金切り声のような黄色い悲鳴が轟く。
そして、私の心臓も大きく跳ね上がる。
剣道部のエース・九竜蒼永くん。
空手部にも所属し、そちらもエースとして活躍する武道の天才。
学校一の超イケメンで女子人気は断トツ。
ライバルが多くて無謀なのはわかってるけど…、私の好きな人でもある。
だけど、この恋は絶対秘密なんだ。
「九竜くん!おっつ〜!」
私は胸のときめきを無理矢理押さえ込み、いつものように明るく挨拶する。
「青葉、撮らないでね」
「ひっど!私まだ何もしてないじゃん!」
「だからする前に言ったんだよ」
「しないよ〜。一緒に撮ってくれたら鬼バズ間違いなしだし、お願いしたいとは思ってるけどね?」
「やだ」
「相変わらずつれないなぁ」
実は九竜くんは、私や橙矢と同じ寮生だったりする。
だから女子に全く興味がない、全ての告白を断りまくってるクールな王子と気安く話せてしまうというわけ。