ホワイトビターショコラ〜幼馴染からの卒業〜


ちなみに恋をしたのは中3になってから。

中1から同じ寮に入ってるけど、ぶっちゃけ恋愛対象とは見てなかった。
まあその頃からめっちゃ綺麗な顔してるな〜とは思ってたけど、寮生の一人でしかなかったんだよね。

そうじゃなくなったのは、ある出来事がきっかけだった。


「くるみってちょっとウザくない?」
「わかる、動画撮ろ〜とか言って目立とうとしてるよね」
「男子にもめっちゃ構ってアピにしか見えないしさ〜」


私に対する陰口を聞いてしまったこと。
教室のドアの前で立ち尽くしてしまった。

そんなつもりじゃない、ただ私は…本当に好きで。
一度きりの青春だから、友達との思い出を残しておきたかっただけなのに。

そんな風に思われてたなんて…。


「…っ、うっ…」


教室の前で泣いていたら、急に誰かにハンカチを差し出される。


「…え?」

「使えば」


半ば無理矢理ハンカチを押し付けると、九竜くんはすぐに立ち去ろうとした。


「あっ、待って…!」

「何?」

「あ、いや…ありがとう…」


びっくりしすぎて涙止まっちゃったよ。


「…青葉は」

「え?」

「人の嫌がることはしないから、いいと思う」

「へ……?」


それだけ言って踵を返した。

どういうことなのかはわからなかったけど、多分私のことを励ましてくれてることはわかった。

さりげなくハンカチを差し出してくれたのも、九竜くんの優しさだと思ったら――、


「……っ」


顔の熱りが止まらなくなっていた。


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