竹取り物語
朝 九時前に着いた。

『オハヨッ!』と元気な容子の声。

『修二? あのね 母も…』
『う〜ん 良いけど 二部屋の予約だぞ。それでも良いのなら』

『それでも良いって!』

内心 なんて図々しいと思った。

母親は歳のわりには若く見えた。

『この度は この子らがお世話になり、ましてや温泉にまで誘って頂き ありがとうございます』

『いいえ この子達一生懸命 生きて行く姿に感銘し、それで ご褒美にと思った訳です』

さて 座席は 家族でドライブに行くようになった。

『揃ってドライブするの何年ぶり?』と しきりに ハシャグ母の姿に後ろの席の容子らは見合わす。

街中を過ぎた所から 紅葉が目立ち始めた。

山の中腹辺りは すっかり色づき 紅や黄色が見事に映えている。

車中の母親は 綺麗の声の 連発。

ようやく目的地の川下り。
四人分の乗船券を買い、時間待ちしてる間に 車の手配をした。回送係りに車の鍵を渡して乗船。

水面を滑り出した船上の風は寒く感じた。

船頭の案内を聞きながら 紅葉に染まった景色とスリリングを味わった。

歓声を上げながらの四十分足らずの流れだった。

今晩の温泉へ出発。
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