甘すぎる小悪魔に見つかったなら。
何を言い出すの,もーちゃん。




「王子って……私にそんな大層な知り合いはいないよ?」



しょっちゅう一緒にいるんだから,知ってるでしょ?




「そんなことを言ってるんじゃ無いの! 王子って言うのもただの喩え! そうじゃなくて……十和くんのこと,あの! 十和くん!」



え~と,十和?

が,何? 

王子サマ?

どうして……今十和の話が出るんだろう?

それだけでも充分不思議なのに,意味の分からないことだらけ。

そろそろちゃんと,説明がほしい。

それでも,もーちゃんの目は真剣で。

新しいスクープの予感に輝いているから。

もう少し付き合わなくちゃなんだろうなぁなんて。

長くなりそうな話を前に,私は教科書を先に机へ上げた。
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